絵画・造形教室 第70回「自分で考えた星座をつくる!」

第70回
6月17日
テーマ「自分で考えた星座をつくる!」
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むか~し昔、ここモンテ村に親孝行なタロベェという若者が住んでおった。東にある丸山を見つめながら「山のてっぺんからお天道様が昇るようになったけん、そろそろ種蒔きをせないかん」とつぶやいた。日が沈む西の三角山の向こうには、いとこのジロキチが住んでおった。ジロキチはたいそう腕のいい漁師じゃった。仲間を引き連れて何日も大海原に出るのじゃった。今回もたくさんの魚を獲って港に帰ってきた。タロベェはジロキチにきいてみた「なぁジロキチどん、目印になるようなものがなんもない海に出て、なんでちゃ~んと帰ってこれるんじゃぁ?」。ジロキチは言った「星が教えてくれるんじゃよ!」・・・現代社会と比べて文明の利器が極端に少なかった昔の時代、人は太陽や月、そして星らと語らいながら自然との対話によって生活を営んでいましたね。種蒔きや収穫の時期、獲物を捕る時期、休む時期、事を決めるには時の見極めが大変重要だったんです。そんな時の決定とともに、行動を起こす方向の見立てに大切な役割を果たしたのが星でした。北極圏に住むイヌイットの人たちは、星を頼りに千キロ以上離れた目的地まで正確に犬ゾリで移動できるそうです。私たちが失った大切なものを持っている、そう思います。
まずは星座のお勉強、代表的な12星座は自分の誕生日とともに全員がしっかりと覚えています。しかし星座の写真やイラストをよく見ると、サソリ座はなんとなくサソリの形がわかるけど、カニ座はどう見てもカニには見えません。不思議です。星座の名は夜空に占める見かけの配置を、その形から連想した様々な事物の名前で呼んだものである、昔からいろいろな文化や時代に応じて星座名が用いられた、と記されています。なるほど、大切な星を区別できるように覚えやすい名前をつけたんですね。写真やイラストだけでなく、ダリの12星座の絵も鑑賞。普通でない解釈と表現にこどもたちも驚いていました。
いろんな形の厚紙を、切ってつなげて自分の考える星座を作っていきます。三角の頭と円の胴体で躍動感のある「クワガタ座」、銀の舟雲に乗って弓を射るイメージの「いて座」、紙の重ねと桃色が絶妙な「ウサギ座」、複雑に組み込んだ紙片がしっかりした築城に見える「お城座」、金色の胴体と特徴のある背びれに頭部から感覚器アンテナを伸ばした「シャチ座」、青いイナズマをたなびかせ星空を駆ける「スペースカー座」、ゼンマイ形状や円や三角を自由にあやつる「オットセイのサーカス座」、途中から面白い変な形になった「変座」、競うように夜空を泳ぐ「イルカ座」と「双子のヘビ座」、しっかりと出汁(ダシ)を搾り取られやせ細った「リュウコツの出汁がら座」なんて作品も。キラキラ絵具も大胆に、夜空に浮かぶささやかな絵巻の誕生です。

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絵画・造形教室 第69回「同じ図形を書き書きし、爬虫類を描く!」

第69回
5月20日
テーマ「同じ図形を書き書きし、爬虫類を描く!」
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皆さんはフラクタルという言葉をご存知ですか?幾何学の概念で、図形の部分と全体が自己相似になっているものなどをいう、とあります。ちょっと難しい話になってしまいましたが、ある部分を拡大すると同じ形が現れ、その形の部分を拡大するとまた同じ形が現れて・・・どんどん拡大してもズゥ~ッと同じ形が現れる。私が興味を持ったのはマンデルブロ集合といわれる図形を見たときで、なにか不思議な気分になってしまいました。たとえば渦状にもミクロの渦巻きから指紋、頭髪の渦、気流海流の渦、台風の渦、木星の大赤斑、天の川銀河、それらの銀河が何千億とあつまった宇宙の渦・・・う~ん、あまり考えすぎても頭の中がモヤモヤするだけなのですが、気分はフラクタルです(笑)。身近なところではカリフラワーのロマネスコ、なるほど全体と部分が相似形になってます。人体では血管がフラクタル、とにかくいろんな分野に当てはまるんですね。
モニターで学習したフラクタル、その要素の一部を採り入れて全体から部分まで同じ形を描いて爬虫類を描きます。大小の円や楕円で頭や甲羅、手足を描いた「カメ」たち。同じく円と楕円で描いた「コブラ」や「ヘビ」。六角形だけで描いた「カメレオン」。三角形で描いた「大トカゲ」や「恐竜」。同じ円をいっぱい描いた「イグアナ」。円の大小を駆使して描いた幻の「ツチノコ」などなど。相似形とはどんなものなのかな?を意識しながら描けたようです。
 

絵画・造形教室 第68回「オモシロ鯉のぼりをつくる!」

第68回
4月15日
テーマ「オモシロ鯉のぼりをつくる!」
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5月5日は端午(たんご)の節句です。♪屋根よ~り~高い鯉の~ぼ~り~・・・懐かしの歌とともに、黒い真鯉、赤い緋鯉、青い子鯉の青空にたなびく姿が目に浮かびます。都会では自宅で大きな鯉のぼりを掲げることは難しくなりましたが、郊外に足を延ばすとあちこちの庭先で見ることができますね。鯉のぼりの歴史はそんなに古くなく江戸時代からの風習のようです。本来、男の子の出世と健康を願った行事ですが、今では緋鯉や子鯉を加え、家族の健康や安泰を願う象徴でもありますね。モニターで観た歌川広重の浮世絵には立派な黒い真鯉が描かれています。今でも大きな鯉のぼりになると、目も鱗も人が手描きで製作していきます。加須市の日本一100mの鯉のぼり、とにかくでか過ぎて大型クレーン車でしか揚げられません。そんな絵や写真を観たこどもたち、鯉のぼりに一層親しみを持ったようです。
今回は「描く!ひねる!編む!」の3つの工程を駆使してもらいます。先ずは3枚の画用紙に鱗として、自分のイメージした模様を描きます。赤い画用紙に同心円を描く、青い画用紙に色んな太さの線画を描く、黄色の画用紙に花模様、白には凹凸模様、黒にはグルグル竜巻模様など各自それぞれ好みの模様ができあがりました。次に描いた画用紙を筒状にしてひねっていきます。そしてひねった3本の筒を三つ編みの要領で編み込んで鯉の形に整えます。最後に頭と口の大きな筒状画用紙に三つ編み部分を入れ込んで、目玉を貼り模様を描いて完成です。平面に描いた絵を筒状立体にして、さらにひねり三つ編みにすることで、描いた鱗の見え方の変化を体験することができました。

絵画・造形教室 第67回「カエルを飼ってみたら・・・を描く!」

第67回
3月18日
テーマ「カエルを飼ってみたら・・・を描く!」
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まずはモニターで両生類とはなんぞや?をみんなで学習。水中と陸上の両方で生きることのできる動物を両生類と呼びますね。その代表としてカエルを選んでみました。春になると小川や池には卵がいっぱい見られます。「目玉オヤジだ~!」そう、その目玉から生まれるのがオタマジャクシ。やがて後ろ足が生えてきてカエルの形になってくるんだけど、尻尾はまだ生えたまま。そんな姿を見たこどもたち、なぜか不思議な気持ちでいっぱいです。2ヶ月もすると前足も生えて立派な大人の形になりました。今回は「自分がカエルを飼ったとしたら」を想像しその楽しい世界を絵にしてみました。
「KAERU AIR LINE」機体にはカエルの絵がいっぱい、パイロットも窓から見える乗客もみんなカエルさん。「カエル新幹線」運転席にいるのはしっかりと前を向いたカエルさん、ボディーにはJRだけでなく、KRのロゴも。「カエルのお散歩」リードをつけた二匹のカエル、可愛いです。「カエル合唱団」高い声や低い声、ケロケロゲコゲコと鳴き声が聞こえてきます。「ハエを捕るカエルを狙うヘビ」食物連鎖の世界です。「シャチとカエルおオタマジャクシとぼく」、「カエルとぼくの競泳」、「スカイツリーとてっぺんカエル」他、興味深い自分の世界が描けたと思います。
日本固有種で世界最大の両生類であるオオサンショウウオ、そんなゴッツイやつをおじいちゃんと一緒に捕まえた小学生の話にはみんなで感激です。(もちろん安全な場所まで運んで放してあげましたとさ)

絵画・造形教室 第66回「幾何図形で絵を描く!」

第66回
2月18日
テーマ「幾何図形で絵を描く!」
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改めて調べてみると、三角形や四角形、六角形などの多角形、円や台形、菱形などを幾何学図形というとあります。もちろん、こどもたちにとっても馴染みのある図形です。幾何学図形といえばエッシャーですね。今回だけでなく、過去に何度か鑑賞している作家ですが、いつ観てもそれらの図形の組み合わせや連続性、展開のしかたに驚いてしまいます。こどもたちと幾何図形を確認しながら、カットされた色紙を自由に選び、好きなように画用紙に貼っていきます。選ぶ図形や色、大きさや貼る位置は各自さまざま、この五角形は三角形の頂点に貼ってみようかな、ウ~ン?などと悩みながらどんどん貼り込みます。次に図形の頂点(点)と頂点を直線(線)で結んでいきます。いろんな形の頂点を好きなように結びつなげ、それらの直線の重なりで想像していなかった面白い多角形がいっぱいできてきました。次は画用紙上にいっぱいできた図形の中から、自分で選んだ位置にある形(面)に着色していきます。
できあがった作品は単純な図形の重なりではあるのですが、複雑な深みも感じられる仕上がりとなりました。図形の基本である「点・線・面」への理解が少しは深められたように思います。
       

絵画・造形教室 第65回「見たことのない生物を描く!」

第65回
1月21日
テーマ「見たことのない生物を描く!」
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みんなの好きな見慣れた動物ではなく、見たことのない生物を描いてもらいます。見たことのないものを描くには想像力が必要です。想像した世界をどのように描けばいいのかな。そこで数点の傑作絵画を鑑賞しました。ダリの『宇宙象』では、昆虫のような関節のある細長~い脚のゾウさん、『記憶の固執』では、ひげクジラの胎児のような不思議生物に溶けている時計や群れるアリ、そこには作家の潜在意識に浮遊する重ねられた想像(イメージ)の記憶をかいま見るインパクトがありました。俵屋宗達の『風神雷神図屏風』では、自分たちの知っている風や雷の恐い容姿を観たこどもたち、これらの絵を通して想像して描くことのヒントを得たようです。
自分で想像しタイトルを決め、それを絵にしていきます。「放射状にのびる宇宙のヘビ」、「一つ目惑星」、「もぐら宇宙人」、「ひれを持つ人魚姫」、「地球と人間」、「ネズミキリンロケット宇宙を飛ぶ」、「インフルエンザに罹ってマスクして、他の生物に変身しつつある猫」、「耳がひとつのウサギ」、「リンゴ恐竜」などなど。「ラーメンぎょうざメデューサマン」という楽しいほっこり作品もありました。
見たことのない生物を描けるのかなと心配したけれど、考え過ぎだったようです。

絵画・造形教室 第64回「お正月飾りをつくる!」

第64回
12月17日
テーマ「お正月飾りをつくる!」
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年の瀬となりお正月飾りの授業がやってまいりました。昨年は酉(とり)の制作でしたが、今年は来年の干支である戌(いぬ)の制作です。毎回この授業ではお飾りに使われる素材の種類や意味を、モニターや実物を見ながら学習します。使用素材の稲穂、松、榊、橘、千両などに水引や紙垂(しで)を加えていきます。お飾りの中心にはこどもたちがつくる「戌」を最後に結びつけます。稲穂や松、水引や紙垂などを使用する意味を知ったこどもたちも意気揚々と制作をスタートします。まずは紅白の紙で紙垂づくり。紙垂とは注連縄(しめなわ)につけられている垂れ下がった白い紙のことです。「カミナリゴロピカだよね!」そう、紙垂は稲妻のかたちを表しています。カミナリと植物の成長に関して科学的な解明が進んでいるようですが、古来よりカミナリの多い年は豊作になると伝承されてきました。昔の人は知っていたのですね。

紙粘土でつくった様々な犬たちのかたちや表情、ベロリと出した赤い舌、じっと見つめるつぶらな瞳、たぬきに見えたりきつねに見えたりで愛嬌のあるワンコたちが出来上がりました。来年の1年間、どうぞこどもたちをお守りください。今年の授業もこれにて終了。良いお年を!

絵画・造形教室 第63回「喜怒哀楽仮面をつくる!」

第63回
11月19日
テーマ「喜怒哀楽仮面をつくる!」
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人間は感情の動物です。よろこび、いかり、かなしみ、たのしみ。良いときもあれば悪いときもある、まさに人生色々、喜怒哀楽。なーんて大人のつまらないボヤキはこどもたちには通用しません。怒りや悲しみよりも、喜びや楽しみのほうが大きく強くイキイキしています。モニターを観ながら喜怒哀楽の意味、感情や表情を学びます。四つの感情と表情を自分達の日常に置き換えながら考え、理解できたようです。

制作する仮面は立体の四面それぞれに喜・怒・哀・楽を表現します。怖い「なまはげ」や「トラ」、「ライオン」、「歌舞伎の隈取(くまどり)」、「怒りのイルカ」、そして悲しみの「ピエロ」や「ウサギ」、喜びの「犬」や「猫」、「人の顔」などを描いた表情に、採取した葉っぱや小枝、毛糸やテープなどを加えながら完成しました。適度な位置に穴をあけ、頭にかぶった立体をクルックルッと回していけば、四面表情変化、喜怒哀楽仮面が完成しました。

自分の表情は大切です。「他人に不機嫌な顔を見せる人は、自分のことしか考えていない。機嫌よくしていないと会う人に悪いし、礼儀だと思う」と言った作家がいましたけれど、なるほどなぁと納得です。喜楽でいきましょう!

絵画・造形教室 第62回「線画で虹を描く!」

第62回
10月15日
テーマ「線画で虹を描く!」
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一年ぶりの共作です。今回は自由に描いた曲線で大きな虹絵を描きます。まずはモニターで虹のお勉強、太陽の光が空気中の水滴によって屈折、反射して虹ができること、水滴のプリズム効果で七色の光の帯が見えること、順番に赤橙黄緑青藍紫(せきとうおうりょくせいらんし)であることなどなど。それから著名な虹作家である靉嘔(Ay-O)や線画のダイナミズムがすばらしい粟津潔の作品を鑑賞。いよいよ制作準備、みんなで画用紙を貼り合わせ大きなキャンバスをつくります。次にあみだクジで決めた自分用の画用紙に自分の考える「大切な目」を好きな位置に描きます。モニターで鑑賞したエジプトの「ホルスの目」や「猫の目」、「パパの目」、「金魚の目」、「お花の目」から「Wの目」、「UFOの目」など思い思いの絵を描いたようです。

さて、ここからが本題です。一人一人が順番に目と目を自由曲線で結んでいきます。他人の描く線画が大切に描いた自分の目の画用紙に浸食してきます。最初、違和感を覚えていたこどもたちも、ノリノリで線画を描き出しました。他人を受け入れる楽しさが伝わってくる不思議な目を組み込んだクネクネ曲線の絵ができあがりました。次に墨一色で描いた線と線の間に彩色し、自分の虹色を描いていきます。ウワァ~ッと元気がもらえるエネルギー満タンの作品が完成しました。大きな画用紙に描くことはこどもたちのストレスを発散させてくれる効果もあるようです。パワフルな絵が描けるようになったもんだなぁ。

絵画・造形教室 第61回「植物を観察し描く!」

第61回
9月24日
テーマ「植物を観察し描く!」
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今回は初めての手法にチャレンジです。顕微鏡を使った不思議な世界を絵で表現します。選んだ対象は植物。葉っぱ、花粉、種、花びらなどを顕微鏡で覗いてみると、想像もつかないようなミクロの世界が現れます。こどもたちもその不思議な美しさに心をうばわれたようです。自分の目で見たその映像を、本物の野菜を使って描いてみました。用意したレンコン、ピーマン、ゴーヤ、オクラ、エリンギきのこなどを絵筆にして線を描いたり、特徴あるカット面をつかって版画手法で重ねていったりして、実際に見たミクロ世界のイメージを表現しました。

観察し興味を持つこと「不思議ワクワク!」は大切です。今回生物のなかの植物をとりあげましたが、広く深く生き物の不思議を感じること、知ることは楽しいですね。