堤桃子モンテッソーリ教室 小学生古典の授業から

古典の授業、とても楽しそうに帰ってくるけど、何がどんな風に面白かったのかわからない。そんなお声がありました。
そこで近況報告かたがた、その一端をお伝えします。
おくのほそ道 第1回は、平成24年8月20日(月)でした。
東北を旅する「ばしょうおじさん」について、簡単な紹介の後、俳句第1弾「古池や蛙とびこむ水の音」これを暗唱し、
定型用紙に書き取りました。
芭蕉は植物の名であることをお話しすると、ご自分の学校の校庭に植わっています!とおっしゃったお子さまがおられて嬉しくなりました。別名日本ばななです。

そして、旅の出発点が、今スカイツリーのある深川であることを話した辺りからみんなの興味が動き始めました。
ここで俳句第2弾「かたつむり そろそろ登れ富士の山」子ども達の好きな一茶です。蛙の次はかたつむり。
5・7・5ののリズムに慣れ始めました。
芭蕉は、1689(元禄2年)3月27日(新暦5月16日)深川を出発。江戸から奥州平泉を経て山形、新潟、金沢を通って大垣まで
全長600里(約2400km)を143日くらいかけて歩き、おくのほそ道をのこしました。67泊で大垣まで行っています。
その旅姿を本の表紙を参考にしつつ、皆に描いてもらいました。
「ばしょうおじさん」は今でいうならポシェットのような袋を下げています。中には紙と矢立などが入っているのでしょう。
曽良さんが、2人分の旅支度を、一人でかついでいるけれど、そのおおきさは人の頭ぐらいの大きさの風呂敷包む1つ。
いったいこのなかには、なにが入っているのでしょう!?矢立て、紙子、ふんどし、手ぬぐいです。
中でも人気NO1はフンドシ。てぬぐいを使って、ぬいぐるみでそのつけ方を実演したところ、一番年かさの男の子が「それぼくもやってみる!」
と言って自らモデルになってくれたり楽しい1コマでした。
この頃に次の俳句 暗唱 清書

夏草や兵どもが夢の跡 平泉
閑さや岩にしみいる蝉の声 山形立石寺
五月雨をあつめてはやし最上川 山形大石田町
荒海や佐渡によこたう天の川 新潟出雲崎町    (以上芭蕉作)
うつくしや障子の穴の天の川    (一茶作)

その後9月10日の授業では、地図で最上川を示し、五月雨を……..の句を再度暗唱、清書。
最上川は1県1川。支流も上流も他県にいっていない。日本でもこの川だけだそうです。
山形県の降水量を全部集めているから「五月雨をあつめて早し最上川」になるんだと、これは井上ひさしさんが、
日本語教室(新潮新書)のなかで語っています。
井上さんといえば東北弁。そして東北弁の美しい詩といえば、賢治です。
9月の授業では、風の又三郎の冒頭の詩を暗唱しました。
「どっどど どどうど どどうど どどう
青いくるみも吹きとばせ
すっぱい くわりんも 吹きとばせ
どっどど どどうど どどうど どどう」

子供たちの力強い声、楽しそうな表情。
ご覧に入れたかったです!
みんな一度で覚えてしまいそうな、勢いでした。
私は、拙い東北なまりの模倣で「鹿踊りのはじまり 」を
朗読しました。

ことほどさように、私たちの古典の授業で最も大切に
しているのは朗唱です。声に出して唱える。
すると自分の声が耳に入ってきて自然に定着する。
「声を出しなさい、必ず覚えられる。」毎回そう言い続けて
います。

小学生モンテソーリクラスの古典授業も今月17日で二学期を
修了しました。
最終日には、おくのほそ道、江戸の循環社会の項の補足として
着物のたたみ方を体験しました。
曽良さんの荷物が、あんなに小さな風呂敷包みだったわけを、
体得してほしいと思って設けました。

お正月は、家族みんなの楽しい時間。
百人一首やことわざかるた、星座かるた、すごろくあそび、国語を楽しく学ぶ絶好のきかいです。
最後に、私どもの教室で5・7・5・7・7で作った理科暗記(このリズムで学ぶと覚えが早い!)作戦をどうぞ、
お風呂の中などでお子様とご一緒に唱えてあげてくださいね。

佳いお年を‼

「ダンゴムシ 好きな食べ物 枯れっ葉だ じめじめしたら それが食べごろ」
「見上げれば 夏の三角 こと座ベガ 白鳥デネブに わしアルタイル」

平成24年12月26日
堤桃子モンテソーリ教室 小学生古典担当 江川 伸子